こちらは穀物等を保管するための低温倉庫の屋根となります。
内部は二重構造になっており、断熱には気を遣った構造はしているのですが、屋根の改修工事を行うにあたり、さらに信頼性と環境性の向上を図るため、防水遮熱塗装を行うことになりました。
各部の劣化状況です。
屋根は雨水や太陽光を直接受ける場所ですので、シールの劣化速度も他の場所に比べると早く進行します。
もちろん、いくら劣化が早いとは言いましても、少なくとも10年は持ちますので、それほどシビアに考える必要はありません。
ただ、シールに劣化が見られはじめると、基本的に他の部分の劣化も進行しています。ですので、シールの寿命を基準に改修工事を検討されてもよいかもしれませんね。
こちらは排気筒の根元部分です。
完全に穴が空いてしまっているわけではありませんが、表面は錆によってサクサクになってしまっており、漏水に至るまでそれほどの猶予は無いと思われます。
金属の劣化は溶接個所や落ち曲げ箇所などの継ぎ目や先端から始まります。
劣化状況をチェックする際は、そういったポイントを重点的に行えば、簡単に劣化状況を確認することができます。
事前にチェックを行った後、高圧洗浄に移ります。
穀物にとって、水や湿気はカビを呼ぶ大敵でもありますので、事前の入念なチェックと、洗浄水の当てる方向には気を使う必要があります。
もちろん、防水改修工事で漏水が発生する事はあってはなりませんので、中が穀物であろうと空っぽであろうと、やることは変わりません。
高圧洗浄によって汚れや脆弱層を除去し終えると、次は手作業による錆落しに移ります。
ケレンと呼ばれる錆落しにも1種から4種まであり、こちらは3種ですね。
上にある排気筒のような錆び方をしている場合は、上に塗装をしても錆ごと剥がれてしまう可能性が非常に高いため、しっかりと錆を落してやる必要がありますが、こちらのように錆というより焼けに近い状態である場合は、プライマーが強固に密着しますので、素地が見えるほどまで錆を落す必要はありません。
錆落しが終わると、次はプライマーの塗布に移ります。
金属面ですので、錆止効果と密着性に優れる2液型のエポキシ系プライマーを採用しました。
錆による劣化が見られた排気筒の根元については、シールを充填したうえで防水テープによって補強をしておきます。
鉄板同士の接続部や取合い部、はぜ部等、一枚板でない部分は全てシーリング処理を行います。
また、動きが予想される箇所には、排気塔に貼った物と同じ防水テープを貼り付け、事前に補強をしておきます。
こちらがウレタン防水材、FSコートの吹付けを行っているところです。
吹付けは、手塗に比べて複雑で入り組んだ形状にも効率的に防水材や塗料を乗せることができるというメリットはありますが、粒子が細かい分、飛散して近隣の建物や車、あるいは歩行者に付着してしまう危険性があるというデメリットもあります。周囲の環境をよく見極めたうえで、吹付けは行われます。
こちらが一般的な、いわゆる「ペンキ塗装」では、基本的に1平米あたり0.1kg〜0.3kg程度の2回塗りですが、こちらのFSコートは標準仕様で1平米あたり0.8kgの2回塗りとなっております。
一般的な塗装に比べ、厚みが数倍違ってきますので、遮熱以外にも防水効果や防音効果、断熱効果が得られるわけです。
最後は遮熱の要である高反射型トップコートの塗布を行います。こちらでは標準色の中では最も高い日照反射率を誇るスカイグレーを選択されました。
日照反射率は、どの色も少なくとも50%を超えており、表面温度は10度〜15度程度の低下が期待できます。
防水・防食(防錆)・防音・遮熱に優れた屋根が完成しました。
単純な遮熱塗装の場合、場合によっては塗膜によってピンホールを塞ぐ程度の効果はあるかもしれませんが、基本的に防水性能および防音性能はありません。
こちらのFSコートの場合、高弾性ウレタンを厚く吹付けますので、直接屋根を叩く雨音の低減はもちろんのこと、前の道路を走る車の走行音などの低減効果もあります。 何より、このFSコートは基本的には「防水材」ですので、2回塗以上の仕様であれば、基本的に10年間の防水保証をしております。 遮熱塗装に比べ、若干値段は上がりますが、費用対効果を考えると、各種遮熱塗装よりこちらのFSコートをお勧め致します。