こちらは下地処理として吸塵機能のついたサンダーで研磨を行っている工程となります。
ご覧の通り、黒い部分が研磨前で、白い部分が研磨後となります。 いかがでしょう。この一枚だけでも下地処理の重要性がおわかりいただけるかと思います。
表面の研磨が終わると、ガラスマットを積層するために樹脂を塗布します。
この樹脂はビニルエステルという特殊な樹脂で、防食の要です。
FRPライニングにおけるガラスマットは、いわば「染み込ませる布」であり、重要なのは「何を染み込ませるか」なのです。極端な話、ガラスクロスの代わりにティッシュや新聞紙を使ってもよいわけです。
ただ「布」としての耐食性や引っ張り強度を考えると、紙は実用できるとは言い難いですけどね。
こちらがガラスクロスに染み込ませる作業ですね。
FRPだからこそ、立面であっても裏面であっても液体を均一の膜厚に仕上げることができます。
こちらはロービングクロスを貼りつけているところです。
このロービングクロスは、数ミクロンの長いガラス糸を集めて束にし、織って形成されており、軽量でありながら高強度というFRPは、基本的にこちらの事を指します。構造物の補強に用いられるのもこちらですね。
防食ライニングでは、強度より耐食性を重視されることが多いため、浸透性、積層性の高いガラスマットが使用されますが、5プライものライニングですと、ガラスマット、ロービングクロス、ガラスマット、ロービングクロスと交互に積層を行うことで高い防食性と高い強度の両立が可能となります。
こちらが最終である5層目の「サーフェイスマット」を貼りつけている所です。
上記2種類の繊維とはまた異なり、このマットは非常に目の細かい物となります。
浸透性が非常に高く、多量の樹脂を含むことができるため、4層のライニングで生じた多少の段差もすっぽりと包みこむことができる仕上げ層ですね。
最後にトップコートを塗布し、完成となります。
屋内設置のめっき槽ですのでクリア仕上げですが、屋外や屋内であっても太陽光等紫外線のあたる場所に設置してある場合は、遮光性トップコートでの仕上げがおすすめです。 FRPは薬品には高い耐性を持っていますが、紫外線は結構苦手です。もちろん、多少の紫外線で急に劣化したり割れたりするようなことはありませんが、可能であれば3年〜5年程度、少なくとも7年に一度、トップコートの塗替え等のメンテナンスを行えば、FRP自体は軽く15年程度はもちます。
当然、外面も防食ライニング済です。
外面は内面ほどの耐食性は必要でないため、ガラスマット2層の2プライ仕様で施工しました。
下地である鉄部は側面裏面共に露出していないため、仮に薬液があふれ出るようなことがあっても、槽は一切ダメージを受けることはありません。